2013年のインディカー・シリーズ (2013 IZOD IndyCar Series) は、インディカー・シリーズの18年目のシーズンとなる。第97回インディアナポリス500マイルレースはシリーズ5戦目として5月26日に開催された。2013年シーズンはダラーラDW12のワンメイクとなって2シーズン目であった。ライアン・ハンター=レイがドライバー、シボレーがマニファクチャラーのディフェンディングチャンピオンとしてシーズンが始まった。

2013年シーズンは初優勝を果たしたドライバーが4人となり、これは1965年以来のことであった。また、今シーズンの特徴としてダブルヘッダーの開催と、何戦かでスタンディング・スタートが導入されたことがあった。シーズン最終戦では2度のタイトル獲得経験のあるスコット・ディクソンがエリオ・カストロネベスに対して25ポイントのリードを持ってレースに臨んだ。このレースでの完走者はわずか9名で、ディクソンが5位、カストロネベスが6位でフィニッシュ、ディクソンが自身3度目のタイトルを獲得した。マニファクチャラーはシボレーがタイトルを防衛した。

前年からの変更点など

  • シャシー
    • DW12のモノコック内部に「サイドインパクト・ストラクチャー」を搭載。これは車体が側面から壁に接触した際、横転を防ぐために新たに追加された。
    • ブレーキディスクガードを導入し、オーバル戦で装着が義務付けられる。
    • 前年のテキサス戦で使われたリアウィング(基本形状がロードコースパッケージと同じで、フラップのみ取り外されたもの)を廃止し、高速オーバルではインディ500と同じ形状のリアウィングを採用する。
    • タイロッド(ステアリング操作をタイヤに伝える部品)の材質をスチールからアルミニウムに変更した(ミッドオハイオより実施)。
  • エンジン
    • 前年不振に終わったロータス(ジャッド協力)は2012年限りで撤退したため、エンジンはホンダ(HPD)とシボレー(イルモア協力)の2社が引き続き供給する。
    • 燃料供給方式をダイレクトインジェクション(直噴)に変更
    • エンジン交換の基準となる最低走行距離を1860マイルから2000マイルに変更
  • プッシュ・トゥ・パス
    • 時間制から2011年までと同様の回数制に変更された。起動するとエンジンの回転数が200rpm向上し、ターボチャージャーのブースト圧が21.7psi(149.7kPa)から23.3psi(160.7kPa)になる。起動後の5秒のタイムラグは廃止され、キャンセルも出来ないようになった。各ロード/ストリートコースにおける規定は以下のとおり。
  • スポーティング・レギュレーション
    • 前年までレーススタート時は必ず燃料を満タンにしなければならなかったが、この年から自由化された。
    • 接触やクラッシュなどでタイヤが損傷した場合、そのタイヤで2周以上を消化していなくてもコンパウンドを変更できるようになった(ミッドオハイオ戦より適用)。
    • デトロイトは1998年から2001年まで使用されたレイアウトに変更された。
    • 以下のレースではレース距離が変更される。
  • カレンダー
    • 2013年は全16イベントが開催される。エドモントンがカレンダー落ちし、ポコノ・レースウェイが1989年以来、ヒューストンのリライアント・パーク市街地コースが2007年のチャンプカー以来それぞれ復活する。
    • デトロイト、トロント、ヒューストンの3イベントで「ダブルヘッダー」(1イベント2レース)制が導入される。それぞれに通常のポイントが与えられ、レース数としては19レースが開催される。2レースの両方で優勝すると10万ドルの賞金が贈られる。また各イベント第1レースではスタンディングスタートが導入される。
    • インディ500、ポコノ、そしてオートクラブ・スピードウェイで行われる3つのレースは「トリプルクラウン」として開催される。このイベントでは、3戦中2勝すれば25万ドル、全てで優勝すれば100万ドルの賞金が選手に贈られる。また、該当レースのスタート方式は、インディ500と同様の3列ローリングスタートが採用される。
  • ポイントシステム
    • 決勝順位18位までのポイントは前年同様だが、19位以下のドライバーは与えられるポイントが前年から変更となった。
    • ボーナスポイントのシステムを変更、レース中1周でもリードラップ(1位で周回すること)すれば1ポイントを獲得できる。
    • アイオワでは前年から予選を「予選レース」として行うようになったが、この年から予選レースの順位に応じてボーナスポイントが与えられるようになった。
  • その他
    • 日本国内の中継は引き続きGAORAが担当。従来のスカパー!各サービスでの放送のほか、インディ500以降はスカパー!オンデマンドやニコニコ生放送でも配信を開始している。またアメリカ国内での中継はABCとNBCスポーツが前年同様分担して担当する。

開催スケジュール

  • インディ500・ポコノ・オートクラブでの3レースは「ファジーズ・ウォッカ・トリプルクラウン」として開催。

参戦チーム・ドライバー

  • シャシーはダラーラのワンメイク及び全車ダラーラ純正エアロパーツ装着。タイヤはファイアストンのワンメイク。
  • ◇・・・インディ500で予選落ちしたドライバー

(R) - ルーキー

ドライバーの変更

  • A.J.アルメンディンガーは薬物規定違反のためペンスキー・レーシングのNASCARチームから放出されたが、その後ライアン・ブリスコーの穴を埋めるためチームに復帰した。2月18、19日にセブリングでテストを行う。このテストで満足行く結果を出すことができたため、バーバー、ロングビーチ、デトロイトおよびインディ500に参戦する。
  • ルーベンス・バリチェロはスポンサーを見つけることができなかったためインディカー・シリーズを撤退し、2013年シーズンはストックカー・ブラジルに参戦する。
  • グラハム・レイホールはチップ・ガナッシ・レーシングからレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍した。
  • シモーナ・デ・シルベストロはHVMレーシングからKVレーシング・テクノロジーに移籍した。
  • 佐藤琢磨はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングからA.J.フォイト・エンタープライズに移籍した。
  • ジェームズ・ジェイクスはデイル・コイン・レーシングからレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍した。
  • E.J.ヴィソはKVレーシング・テクノロジーを離れ、アンドレッティ・オートスポーツ、HVMレーシングの協力を得て自身のチーム・ベネズエラで参戦する。アンドレッティは3台体制で参戦継続するが、ヴィソのチームをサテライトとして4台目の車をHVMレーシングと協力して供給する。
  • セバスチャン・サーベドラは2012年シーズン、アンドレッティ・オートスポーツからパートタイム参戦したが、2013年シーズンはキャサリン・レッグの代わりとしてドラゴン・レーシングに加入した。

シーズン途中の変更

  • 5月30日、パンサー・レーシングはJ.R.ヒルデブランドとの契約を合意の上終了したと発表した。同日ライアン・ブリスコーがヒルデブランドに代わってベル・アイル戦に出場することも発表した。
  • 7月26日、バラクーダ・レーシングはアレックス・タグリアーニに対してシーズンの残りを放棄するよう申し入れた。タグリアーニの98番車はミッドオハイオでルカ・フィリッピが、残りのレースはJ.R.ヒルデブランドがドライブする。

レース結果

1 フランキッティはペナルティにより10グリッド降格し、ヴィソがポール・ポジションの位置からスタートしたが、ポール・ポジションのポイントはフランキッティに与えられた。
2 この予選はドライバーを2組にわけ、それぞれの1位タイムのうち速いドライバー=コンウェイにポール・ポジションが与えられたが、もうひと組の1位=ジェイクスにもポール・ポジションのポイントが与えられている。
3 大雨により予選が中止となったため、第16戦終了時点でのエントラントポイント順のグリッドが適用された。カストロネベスにはポール・ポジションのポイントは与えられていない。

シーズンの展開

  • スコット・ディクソンが自身3度目のシリーズチャンピオンを獲得した。ルーキー・オブ・ザ・イヤーは唯一フル参戦したトリスタン・ボーティエ(総合20位)が獲得した。
  • マニュファクチャラーズチャンピオンシップでは、シボレー10勝、ホンダ9勝でシボレーが2連覇を挙げた。
  • インディ500ではトニー・カナーンが初優勝を獲得、トリプルクラウンイベントではポコノでディクソン、フォンタナでウィル・パワーが優勝した。
  • ジェームズ・ヒンチクリフ、佐藤琢磨、サイモン・パジェノ、チャーリー・キンボールの4人がキャリア初優勝を獲得した。シーズンを通じて10人が優勝し、これは2000年、2001年のCARTに次ぐ歴代2位の記録である。
  • ジェームズ・ジェイクス、ジョセフ・ニューガーデン、シモーナ・デ・シルベストロがキャリア初、セバスチャン・ブルデーが2007年のチャンプカー以来となる表彰台を獲得した。

レースリポート

ポイントランキング

ドライバー

  • インディ500とアイオワを除き、ポールポジションにボーナス1ポイント。
  • 1周でもリードラップを取ればボーナス1ポイント、最多リードラップ獲得者はさらにボーナス2ポイント。
  • 同ポイントの場合は勝利数、以下2位入賞回数、3位入賞回数、その他で比較され、それでも決まらない場合はポールポジション獲得回数、予選2位回数、その他で比較される。

脚注

外部リンク

  • INDYCAR公式ウェブサイト
  • インディ500公式ウェブサイト
  • インディジャパン公式ウェブサイト

インディカー・シリーズで日本人初優勝を果たし、関係者と喜ぶ佐藤琢磨(左) ― スポニチ Sponichi Annex クルマ

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